11月のアンクレット
- 原田崇央
- 2017年11月23日
- 読了時間: 2分
諸事情があり、一時期、敵意を抱いていたこともあった、まゆゆの卒業記念シングルを買った。
山口百恵のマイク・パフォーマンスにばかりに注目がいっているが、この曲がAKBのコアなファン層である中高年に好評な理由は、パフォーマンスのみならず楽曲自体にも懐かしさがある点だと思う。
この曲は、洋楽マニアや、かつて、ニューミュジックと呼ばれた邦楽好きにはおなじみの、いわゆるウォール・オブ・サウンドが取り入れられている。説明するのが難しいが、分かりやすい例をいえば、オールディーズ・ナンバーの❝ビー・マイ・ベイビー❞(水球選手&布袋ギタリストではなく、ロネッツの方。映画「ダーティ・ダンシング」で使われたアノ曲)みたいなサウンドやアレンジって感じかな。
そのウォール・オブ・サウンドを作り出したフィル・スぺクターってプロデューサーは殺人容疑で逮捕されるといった人間としては最低な奴だが、音楽面では、❝ビー・マイ・ベイビー❞以外にもザ・ビートルズの❝レット・イット・ビー❞やジョン・レノンの❝イマジン❞なども手掛けていて、この人が音楽界に与えた影響力は、はかりしれないほどでもある。洋楽界では、ブルース・スプリングスティーンなど、邦楽界では大瀧詠一や山下達郎などに影響を与えたし、ボス(ブルース・スプリングスティーン)に影響された音楽をやっているのが、浜田省吾や佐野元春なわけだし、80年代洋楽サントラ曲を代表する名曲であるスターシップの❝愛はとまらない❞も、モロ、ウォール・オブ・サウンドな曲だし…という感じで、いかにすごいサウンドかというのが分かると思う。
AKBのファンは音楽面では保守的で、EDMの❝僕たちは戦わない❞やラップ・パートがある❝Green Flash❞といった一般受けする楽曲は嫌いなようだが、この❝11月のアンクレット❞が好評なのは、そうした懐かしの青春サウンドなところも大きいのではないかと思う。
そうえいば、この曲、アンクレットとリグレットって韻を踏むという笑ってしまうような歌詞があるが、実は、その部分が一番、楽曲的にも盛り上がるところだったりする。ダセェと最初は思ったが、結構、今ではこの曲の最大のお気に入りポイントになっている。

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