ぼくの名前はズッキーニ
- 原田崇央
- 2018年2月10日
- 読了時間: 2分
2016年度アカデミー長編アニメーション賞候補となった本作を見て、ジブリ以外の日本製アニメ映画がアカデミー長編アニメーション賞にノミネートされないのは当然だなと思った。
日本人は日本製アニメを世界最高と思い、マスコミもノミネートされて当然と思っているから、毎回、「惜しくもノミネートされず」なんて報道しているが、技術的に特別なものがあるか、思想的に注目すべきものがなきゃノミネートは無理でしょ。
世界的には2Dアニメは古臭い作品かアート作品、そうでなければ、一部のオタクが喜んでいる作品って扱いだからね…。キャラクターデザインが良い、画がキレいだけじゃ映像的・技術的にはアピールできない。
そんな中、何故、ジブリ作品だけがノミネートされるのかっていったら、それは思想的なものがあるからだと思う。一見、映像だけ見ればジブリ作品っぽい「メアリと魔女の花」がノミネートされないのは、そういうことでしょ。
2016年度対象作品の「君の名は。」も、2017年度対象作品の「この世界の片隅に」や「ひるね姫」もそう。一見、社会問題を扱っていそうに見えるけれど、日本の観客を意識しているから、思想が薄いんだよね。言い換えると、米国の賞レースに参戦するには、左翼的思想が必要だと思う。「この世界の片隅に」は右から見ても左から見ても、極端に嫌悪されないつくりになっているから、アカデミー賞にはノミネートされないんだと思うし、「ひるね姫」も独裁者の存在を強調しなければノミネートされない。「君の名は。」も、はっきりと、東日本大震災を描かないとノミネートされないんだと思う。個人的には、「君の名は。」も「ひるね姫」もブルーレイを買ったくらいだから好きだけれど、米国の賞レースで評価されるには物足りないってことかな。
それで、本作はというと、技術面でいえば、人形アニメーションだし、内容は児童虐待問題を描いているし、そりゃ賞レース向きだよねと思う。まぁ、重いテーマの割りには、あっさりした作品だったが。
それにしても、座ろうとしている人の椅子を引いて、コケさせるっていうイビリ方って世界共通なんだな…。

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