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ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

  • 原田崇央
  • 2018年4月14日
  • 読了時間: 4分

原田 崇央

アカデミー作品賞にノミネートされた「ペンタゴン・ペーパーズ」を見た。 前半と後半で印象の異なる作品だった。

前半の印象 本作でアカデミー作品賞にノミネートされたスピルバーグ監督作品は10本目で、その全てを見ているが、正直、その中で一番つまらないと思った。アカデミー作品賞にはノミネートされなかったけれど、ゴールデン・グローブ賞の作品賞にはノミネートされた作品で、個人的にはスピルバーグ監督作品で一番つまらないと思っている「アミスタッド」並の駄作になるのではと思ってしまった。

理由は明白。60年代後半から70年代初頭が舞台ではあるけれど、本作で描かれている報道の自由や、反戦、女性の権利向上といったメッセージは明らかに反トランプを意味している。スピ自身も、今作るべき作品として急遽作ったって言っているし。

個人的には、トランプはデタラメなオッさんだが、何でもトランプ批判すればいいとは思わないし、そういう主張の作品ばかりが評価される最近の米国の芸能界が好きになれない。

日本で言えば、安倍も安倍政権も信用ならないが、無能な野党、特に立民や共産には腹が立つし、安倍のかわりがいない自民もダメダメだと思う。なのに、安倍政権批判か、野党批判しか許されない風潮が今の日本にはある。安倍批判すれば、パヨクとか反日とか在日とか呼ばれ、野党、特に立民や共産を批判すれば、ネトウヨ扱いされる。それはおかしいだろと思う。自民も公明も立民も共産も、というか今ある日本の政党、全部クソだろと思う。

話は多少それたが、全面肯定か全面否定しか認められない状況が日本のみならず、米国にもあり、本作にもそういう思想が見られたので、正直、前半は辟易していた。

まぁ、新聞紙が風で飛ばされるカットとか、公衆電話を使おうとして小銭が落ちるシーンとか、信号無視して車とぶつかりそうになる場面とか、好きな演出はいくつかあったが…。

後半の印象 ペンタゴン・ペーパーズの存在をポストの記者らが把握してからは、前半の左翼的な偽善はどこへやらって感じでメチャクチャ面白くなった。前半はなりを潜めていたジョン・ウィリアムズのスコアも聞こえるようになってきたし(ここまで、ジョン・ウィリアムズのスコアが鳴り響かないスピルバーグ監督作品って、「プライベート・ライアン」以来かな?まぁ、ライアンは最後にとっておきの「戦没者への賛歌」が流れるので、音楽の印象は強いが)、前半は頼りない感じだったメリル・ストリープ演じる主人公も強さを見せてきたし(この変調を見せたのは、アカデミー賞ノミネートも納得の演技だった)、カメラワークも見事だし、前半は偽善的に思えた報道の自由を巡る戦いにも共感できるようになっていった。

なので、トータルで見ると、アカデミー作品賞にノミネートされるのも分かるなという結論に至った。

そして、実話をもとにしてはいるが、何かアメコミ映画みたいな終わり方だった。続きが気になるシーンみたいのを見せて終わるってパターンのやつ。

あと、字幕の訳し方がイマイチだな。文字数の都合があるんだろうけれど、敬称や呼称を訳していないんだよね。ファーストネーム文化の米国で、敬称や呼称を付けて呼ぶ、あるいは名字で呼ぶってのは意味があるのに、それを訳さないのは、作品の雰囲気を壊していると思う。本作は奈津子ではないが、本作を訳したのも奈津子同様、女性翻訳者らしいので、女性は、そういうのに疎いのかな?こういうことを言うと、本作で批判している女性蔑視になるのかな?

それにしても、今年公開作品では、本作やジュラシック・ワールドの続編では、スティーヴン・スピルバーグ表記で、レディ・プレイヤー1では、スティーブン・スピルバーグ表記ってのはどうなのよ?日本で、一番知名度のある海外の映画監督といえる人でも、作品や配給会社によって、表記が異なるって、なんだかなって感じ…。


 
 
 

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