レディ・バード
- 原田崇央
- 2018年6月14日
- 読了時間: 2分
アカデミー作品賞にノミネートされた「レディ・バード」を見た。
これで第90回アカデミー賞の作品賞にノミネートされた全作品を鑑賞することができた。前年度は何しろ作品賞候補のうち、2本が日本では劇場公開されないという異常事態で、日本における洋画興行の厳しい現実やミニシアター系の存在意義なんかを考えさせられた。自分は仕事の都合で期日内に見たり返却したりする自信がないのでレンタルは利用しないし、エンド・クレジット中に関連おすすめ作品の告知とかが出てきて余韻を味わうことができない配信で映画を見るのは好きじゃないので、現時点では日本劇場未公開の2本は未見のまま。おかげで14年連続作品賞候補作品完全鑑賞の記録は途絶えてしまった。
でも、今回は全作品が日本公開されて良かった。
それにしても、反トランプに結びつく作品、特にウーマン・パワーを描いた作品のノミネートが多かったな。この「レディ・バード」をはじめ、作品賞を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」、本命と言われた「スリー・ビルボード」、ほかにも「ペンタゴン・ペーパーズ」、「ファントム・スレッド」と作品賞候補9作品の過半数にあたる5本がそうだからな。本作は女性の自立以外にも、ゲイも出てくるし、メガホンをとったのは女性監督だし、反トランプ作品であるのは間違いないと思った。
背景となっているのが2002~03年ってのも反トランプが意識下にはある気がするな。この時代は911後の極度な愛国心の高まりで反イスラムが高まり、イラク戦争を批判する人は非国民扱いされてしまっていた。それを、時には愛国心をあおり、好戦的ともされる行動をとるトランプ大統領と重ねたと、とらえることは可能だと思う。
それにしても、本作は音楽の使い方がうまい。ゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門作品賞受賞も納得だ。実際、主人公が学校内のミュージカルに出演する場面もあるし。
それにしても、ジャスティン・ティンバーレイクの「クライ・ミー・ア・リヴァー」が時代を彩る懐メロとして映画に使われる日が来るとは思わなかった…。
そして、懐メロといえば、90年代オルタナ、モダン・ロック系も効果的に使われていた。アラニス・モリセットも懐メロになるのか…。そして、何度もデイヴ・マシューズ・バンドが流れたが、きっと、思い入れがあるんだろうなと思った。
そういえば、ちょっとしたきっかけで友情が崩れ、ちょっとしたきっかけで復活するって描写もうまいと思った。

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