半分、青い。
- 原田崇央
- 2018年9月29日
- 読了時間: 4分
クソつまらなかったし、腹立つことも多かったのに、「半分、青い。」を全話見てしまった…。
最初に見ようと思ったきっかけも、最後まで我慢して見ようと思った動機も、スズメやリツといった主要キャラが自分とタメ、つまり、我々、団塊ジュニアを描いているからというものだった。
なので、戦後の日本史において、これほどなく冷遇されている我々、団塊ジュニアをどう描くのか、そして、我々が生きてきた間の風俗(エンタメやスポーツ含む)をどう描写するかに非常に興味を抱いていた。
しかし、そういう風俗の描写は時代考証がめちゃくちゃだし、後半になってからは、そういう描写もほとんどなくなっていた。
本作の脚本家は私より10歳上の、いわゆるバブル世代だし、元々は団塊ジュニアではなく、バブル世代を描くつもりだったらしいという話を聞いたので、そりゃ、リアルな団塊ジュニアの過ごしてきた背景なんて描けるわけないよなとは思った。
この作品って、世代、出身地、職業などによって、評価が変わる作品だと思う。
ネットやSNSで一番大きな声は、つまらない、脚本が酷い、いや、脚本家そのものが酷いってものだったが、多分、そういう批判をしている人の多くは、自分と同じ団塊ジュニアか、それに近い世代の人が多いように感じた。
団塊ジュニアでも、地方出身者は結構、自分の話みたいに思っている人もいたように感じている気がする。
あと、前半の漫画家編は、いわゆるクリエィティブ職に就いている人には共感できる部分もあった。作品全体は酷評している自分でも、この漫画家編の描写には共感する点は結構あったし。
そんなわけで、ネット・SNS界ではかつてないほどの信者とアンチのバトルが繰り広げられていて、本来なら、作品を絶賛しようが、酷評しようが勝手なのに、支持系のタグとアンチ系のタグを併記するなと、お互いの陣営が言い争っていたほどだった。しかも、アンチの中でも、ガチ酷評派とネタ派で分裂していて、これもお互いにタグを併記するなとか言っていたし。アホかって感じだが。それこそ、言論弾圧だろって感じ。
自分は言うまでもないが、アンチだ。理由は、団塊ジュニアを主人公にした意味が感じられないから。戦後日本で最も不遇な世代を主人公にしたなりのメッセージがほとんど感じられない。
あと、普段は全然、そういう描写をしないのに、都合のいい時だけ、「片耳が聞こえない」とか「僕ってゲイでしょ」とか、障害やマイノリティーを出すのも腹が立つ。
そして、前述したが、風俗描写の時代考証がなっていないのが何よりも腹が立った。団塊ジュニアは、生まれてからずっと競争社会だったため、知識量は豊富だし、記憶力もすごいから、中途半端な描写すれば批判されるよね。しかも、大人になっても趣味を捨てていない人も多いしね。
一方で評価できる点もある。
先述した漫画家編の描写は、リアリティがあった。そりゃ、脚本家も同じクリエィティブ職だから、同業者の心情・言動を描くのは得意だよね。知識も興味もない団塊ジュニアの描写はいい加減でも、これはしっかりと描かれていたし。
あと、我々、団塊ジュニアの生き方が思い通りにいかないことだらけ。不運と失敗だらけというのは描かれていたと思う。バブル世代から見ると、我々、団塊ジュニアというのは、あまり好かれていないというのは、前々から感じていたが、そういうのが、脚本に反映されていたように思う。
でも、本作の一番の評価できる点は、朝ドラでよく見かける老けメイク問題をほとんど感じずに済んだことかな。多くの朝ドラは、若手俳優が10代から中高年までを演じる。しかも、時間的制約があるから、映画のようなしっかりとしたメイクはできない。だから、主人公たちが中高年になると、カツラやメイクが不自然でコントにしか見えない(若手俳優の演技力の限界もあるが)という問題が毎回のように発生していた。でも、本作では、その問題は起きなかった。主人公の最終年齢が40歳と、そこまで高齢にならなかったってのもあるが、これって、現実世界の団塊ジュニアに年齢不詳というか、実年齢より若く見える人が多いから、極端な老けメイクが必要ないというのもあるよなと思う。一昔前の40代だったら、こうはいかないしね。
それにしても、何がやりたいか分からないドラマだったな。 結局、このドラマのターゲットって、団塊ジュニアではなく、バブル世代だったってことかな。
SNSで、バブル世代の自慢話を延々と聞かされている感じがつまらない理由って書いてあったが、納得したもんな。
そういえば、星野源って好きになれないんだが、このドラマの主題歌(配信シングル)は初めて購入した彼の楽曲になった。 何か、星野源を嫌いって言えない雰囲気あるよね。ルックスは韓流スター崩れなのに、イケメン扱いだし、曲もどれも同じような曲ばかりなのにね。 でも、本作の主題歌「アイデア」は1番と2番でジャンルが違うなど、タイトル通り、アイデアが良いと思った。

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