空母いぶき
- 原田崇央
- 2019年5月26日
- 読了時間: 3分
ネトウヨからは神聖なる安倍様を批判しているけしからん映画。パヨクからは好戦的で愛国心を強制する安倍政権のプロパガンダ映画として批判されている噂の「空母いぶき」を見た。 自分は、ネトウヨでもなければパヨクでもない。 というか、どっちの思想も大嫌いだ。 でも、自分に右翼と左翼が同居しているのは自覚している。 なので、評価が見た人の政治思想によって変わりやすい(というか、見ないで評価している連中が多そうだが)「空母いぶき」が、実際はどんな作品なのかというのを、一応、報道機関に属する者として確かめたいと思い、見ることにした。 とりあえず、ネトウヨでもパヨクでもどちらでもいいが、そういう思想にどっぷり浸ってしまった連中から見れば、駄作にしか見えないだろうなとは思った。 自分みたいに、改憲はすべきだが、安倍政権では嫌だという意見は、ネトウヨからもパヨクからも認められないが、この映画って、まさに、そういう感じの思想だからな…。 左右双方の矛盾や限界を描いていて、非常にバランスは取れていると思うが、そういうのがネトウヨから見ても、パヨクから見ても不満材料になるんだろうなとは思う。 「この世界の片隅に」は、思想を曖昧にしながらも、左右双方に評価されたのは市民目線のおかげだと思うが、本作は自衛隊や政治家の目線だから、そうはいかないってことなんだろうな。 個人的にダメダメだなと思った点は、敵が東アジア版イスラム国みたいな存在になっていることかな。(見た目もイスラムっぽいし)中国でも北朝鮮でも韓国でも、台湾でも香港でも沖縄でもいいが、きちんと、敵の存在を明らかにした方がいいと思った。何か、これのおかげで、「艦これ」みたいに見えてしまうんだよね。リアリティがなくなったというか…。 それから、ネトウヨから安倍批判するなんてけしからんと言われた佐藤浩市の演技だが、全然、腹の弱い首相じゃなかったぞ。トイレに行くシーンはあったけれど。それに、性格や思想は全然、安倍を揶揄したり、批判したりする類ではなかったし。まぁ、官房長官のルックスが河野太郎っぽいなとは思ったが。 政治的・軍事的描写から見れば、中途半端な作品だとは思う。でも、映画としては、まぁ、名作とか傑作とは思わないが、佳作とは呼んでもいいのではないかと思った。 特にクリスマス映画の佳作と言えると思う。 邦画のクリスマス描写って、トレンディ・ドラマ・レベルから抜け出せないのが多いが、本作は、きちんと、クリスマス映画になっていた。まぁ、「戦メリ」とか、「東京ゴッドファーザーズ」なんて作品には遥かに及ばないけれど。 なので、何故、この時期に公開したのかは理解できない。 それにしても、ネトウヨ的思想とされる中井貴一と、ネトウヨから批判される佐藤浩市が、本作、それに、三谷幸喜の「記憶にございません」で揃って共演しているのって面白いな。しかも、本作では佐藤浩市が首相役だが、「記憶」では中井貴一が首相役って…。しかも、どちらかといえば、「記憶」の方が安倍政権批判度は高そうなのに…。結局、日本の俳優なんて、思想に関係なく仕事しているんだというのがよく分かるよね。 それにしても、本田翼可愛いな。ショートヘア派ではない自分でも可愛いと思った。 と色々語ってはみましたが、実は最大の鑑賞動機は、ゆいはんだったりするんだよな…。重要な役だけれど、下手すりゃ、出ていることに気づかない人も多そうな役なんだけれどね…。

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